こんにちは。皆さまお元気ですか?
今日は、NGSをした時にわかる「モザイク胚」について書きます。
NGSは基本的には培養5日目の胚を対象とします。卵子と精子が受精してできた胚は細胞分裂を始め、順調に分割が進めば5日目には胚盤胞という着床可能な胚になります。
胚盤胞は、胎児になる部分と胎盤になる部分がはっきり分かれており、NGSは、このうち胎盤になる部分の細胞を採取し、細胞に染色体異常がないか検査するのです。
染色体については、身体の細胞と同じように、胚にできた細胞一つひとつのなかにも、23対の染色体が入っています。それには、22対の常染色体と2本の性染色体で、性染色体がX1本とY1本だったら男の子に、Xが2本だったら女の子になります。
つまり46本あるべき染色体が1本足りなかったり、1本多かったりするのが染色体異常です。
NGSで染色体異常のある細胞が見つかった場合、どうするのか?
問題は、NGSしたのはあくまでも胚のごく一部の細胞であるということです。胚のすべての細胞に異常があるのではなく、染色体変異のある細胞と正常な細胞が混在する胚が「モザイク胚」です。
モザイク胚には次の5つのタイプがあります。
①胎児になる部分と胎盤になる部分の両方に変異のある細胞が混じっている
②胎児になる部分のみに変異のある細胞が混じっている
③胎盤になる部分にのみ変異のある細胞が混じっている
④胎盤になる部分はすべて正常な細胞で、胎児になる部分はすべて変異のある細胞
⑤胎児になる部分はすべて正常な細胞で、胎盤になる部分はすべて変異のある細胞
このうち④の胎児になる部分の細胞のすべてに変異があり、流産することがわかっています。また、⑤のタイプはほとんど例がありません。
どのようなモザイクのタイプなら移植ができて、どのようなモザイクならダメなのかはまだ明確にはされていません。この評価を適切におこなうことが、今後の最重要課題だといえます。
Lavidaでは、NGSの結果、もちろん、先に異常のない正常な胚を子宮に移植しますが、正常胚が無い場合や、培養した胚のすべてがモザイク胚になってしまった場合などは、モザイク胚も移植することができます。モザイク胚を移植した場合の流産のリスク、染色体異常のある赤ちゃんが生まれるリスクについて正確に説明し、充分にカウンセリングすることが必要であると考えますので、先生と相談してあくまでも患者さん本人が希望した場合に移植します。
また、近年の遺伝子解析技術の向上がよりNGSによって、異常とはいえないような異変まで見つかるようになってしまい、その結果、「正常ではない胚」と診断されてしまうことがあるという事もあります。
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